彼女が虹を見たがる理由
テストの日だったり、苦手科目が一時間目からだったりする時は俺だって登校して来るのが億劫になる。

でも、帰る時に気分が悪くなるってどういう事だ？

学校から解放されて校門を出る時は一番元気が出る瞬間だ。

そう思いながら2人で校門を抜ける。

その瞬間、村田さんが早足に俺を追い抜いて行ったのだ。

「え？　おい！」

わけがわからず思わずその背中に声をかける。

すると村田さんは立ち止まり、そしてゆっくりと振り向いた。

そして、俺を見て一瞬身を震わせたのだ。

なんだ……？

「村田さん……？」

追いついて声をかけると、村田さんは青い顔をしてうつむいた。

明らかに様子がおかしい。

「どうした？　大丈夫か？」

さっき話で聞いた通り体調が悪そうだ。

呼吸が荒くなっているし、体の震えは止まらない。

「大丈夫。もう、馴れて来たから」

全然大丈夫そうじゃないのに村田さんはそう言ったのだった。
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