Bartender
「それで、どうでしたか?」

耳に入ってきたその声にあっと言う間に現実へと引き戻された。

「ど、どうって…。

と言うか、始まりがベッドのうえってどうなのよ?」

そう言い返した私に、
「同意のうえでだったら犯罪になりませんよ。

千沙さんも首を縦に振ってうなずいていましたし」

伊地知くんが笑いながら答えた。

それから私の顔を覗き込むと、
「それで、どうでしたか?

俺と恋をする気になりましたか?」
と、聞いてきた。

「ちょっ…ちょっと待ってよ、どうしてあなたと恋をすることになったの?」

昨日は確か、試してみませんかと言ってきたはずだ。

「あー、それはですね…」

伊地知くんは人差し指で頬をかいた後、
「俺が千沙さんを好きになったから」
と、答えた。
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