Bartender
「はあ?」

驚きのあまり、私は聞き返した。

「私を好きになったって、理由がおかしいにも程があるわ」

そう言い返した私に、
「躰の相性は最高でしたよ」

伊地知くんがイタズラっぽく笑った。

「さ、最高って…」

訳がわからないにも程があるんですけど!

どう答えていいのかわからなくて困っていたら、
「ねえ、千沙さん」

伊地知くんが私の名前を呼んだ。

「悪いことは言いません。

だから、俺と恋をしてください」

この世の汚れを全く知らない、黒いビー玉のような瞳が私を見つめている。
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