Bartender
先輩たちはお目当ての男を落とすために、あれやこれやと行動していた。

車の話から政治の話までと、よく勉強をしているなあと思わず感心をしてしまった。

チビチビとワインを飲みながら合コンの様子を観察していたら、
「ヒマか?」

誰かが私に声をかけてきた。

声の方に視線を向けると、スタイリッシュな黒い眼鏡とストライプのスーツを着こなした男がいた。

確かこの人は、朽木正文(クチキマサフミ)と言う名前だったと思う。

年齢は私と同い年――と言っても、私は早生まれだから彼の方が年上だ――である。

「いえ、ヒマではないです」

首を横に振って答えた私に、
「この雰囲気について行けないって言う顔をしてるぞ」

正文は言い返した。
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