Bartender
「何か嫌なことがあったんでしたら、俺に話をしてください」

伊地知くんが私の顔を覗き込んでくる。

「ど、どうして、あなたに話をしないといけないの?」

私を見つめてくる瞳から逃げるように目をそらした。

「千沙さんのことが好きだから」

そう言った伊地知くんに、
「あなたの気持ちには答えることができないって言ったはずよ」

私は首を横に振った。

「千沙さんのことが好きだから放って置けないんです」

「じゃあ、私のことを嫌いになってよ…」

「嫌いになんてなれません」

伊地知くんに腕を引かれたと思ったら、視界が暗くなった。
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