Bartender
伊地知くんはクスッと笑うと、
「しっかりしている、と言う意味で言ったんです。

弟の面倒を見ていそうなイメージだったんで」
と、言った。

「へえ…」

しっかりしているって、私はそんな風に見えるのか…。

何だか照れくさくなって、グラスに口をつけた。

「まあ、所詮は俺の偏見なんですけどね」

伊地知くんは呟いた。

「あっ、3月29日って来月ですよね?

何か欲しいものあります?」

伊地知くんは思い出したと言うように、私に聞いてきた。

「べ、別にいいわよ。

特に欲しいものなんてないし」

首を横に振って答えた私に、
「それは残念ですね」

伊地知くんはフフッと笑った。
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