Bartender
伊地知くんは満足そうに笑うと、
「えっ…?」

私と手を繋いできた。

「どうかしましたか?」

そう聞いてきた伊地知くんに、
「手…」

私は繋がれている手に視線を向けさせた。

「ああ、これですね。

この方がデートしてるって感じがしていいじゃないですか」

「えっ、わっ…!」

デートしてるって感じって…それって、一体どう言う意味なのよ。

伊地知くんが戸惑っている私に気づいているのか、それとも気づいていないのかはよくわからない。

私は彼に手を引かれるまま、その場から歩き出したのだった。
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