Bartender
テレビで紹介されたカレー店は、休日と言うこともあってか大勢の人でにぎわっていた。

「どうしてカレーが食べたいって思ったんですか?」

店員に注文を済ませると、伊地知くんが聞いてきた。

「テレビで紹介されたところだし、この前食べ損ねちゃったから」

そう答えた私に、
「この前って…ああ、あの時のことか」

伊地知くんが思い出したと言うように呟いた。

「だから今日はカレーが食べたいなって…」

そう呟いた後、チラリと伊地知くんに視線を向けた。

「――ッ…!?」

私と目があったとたん、伊地知くんは目をそらした。

「どうしたの?」

彼の様子に問いつめた私に、
「千沙さん」

伊地知くんが私の名前を呼んで、私を見つめてきた。
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