Bartender
テーブルのうえに置いていた私の右手をまた握ると、
「上目づかいは、俺以外の男にやらないでくださいね?

勘違いするヤツがたくさんいますから」
と、言った。

「えっ、なっ…!?」

言われた私は戸惑うことしかできなかった。

伊地知くんはそっと右手を離した。

「今の上目づかいは、いくら何でも反則ですよ…。

俺、すっごいドキッとしました」

呟くように言った伊地知くんに、
「伊地知くんは上目づかいフェチなの?」

私は聞いた。

「好きな人限定、ですけどね」

伊地知くんはニッと歯を見せて笑った。

…伊地知くんだって、人のことが言えないじゃないのよ。

そうやって歯を見せて笑っている姿は、やっぱり年下だってことに気づかされた。
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