叶うはずのない恋愛
「うん。怖くないから。」


そう言いながら笑った。


「女子は怖くなくても演技で怖いー。とか言わないとダメだろう。」


夏川が真剣な顔で言う。いつも思う。なんであたしはこんな奴が好きなんだと。


「このメンバーで演技をする必要性がない。」


あたしは鞄の中から日傘を取り出しながら言った。あたしはあんまり日光にあたりすぎると疲れてしまうから日傘は必須アイテムなのだ。


「んじゃー、お化け屋敷の入る順番決めようぜ。公平だからくじ引きなあ。」


そう言いながら紙をだす五十嵐。用意周到すぎる。あたし達はそれぞれくじを取った。


「同じ番号の人とペアだから。ちなみに番号の交換はなしで。」


あたしはくじを開いた。くじには綺麗な字で1と記入されていた。今、思えば紗紀と夏川は絶対同じペアのがいいんじゃ?



「1番誰?」


くじを回収しながら聞いてくる五十嵐。
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