叶うはずのない恋愛
あたしは無言で足を掴んできたお化けを睨んだ。お化けはすぐに手を離し元の定位置に戻っていった。


「前川、足でも掴まれた?危なっかしいな。」


しゃがみ込んだあたしを見ながら五十嵐が言った。急に五十嵐がしゃがみ込んだと思ったらあたしの腕を掴んで立たせてくれた。


「ごめん。ありがと。お化け屋敷自体は怖くないんだけど、急に掴まれたりするの昔から苦手でさ。」


あたしと五十嵐は並びながら話をした。


「強い女…。」


五十嵐はおもしろそうに言うと歩きだした。あたしは慌てて後を追う。


「結衣大丈夫かな。」


あたしは暗いお化け屋敷を見ながら言う。結衣と紗紀は暗い場所がどうやら苦手らしい。何でかわかんないけど。あたしは暗闇とか案外平気なんだけどね?


「このお化け屋敷、俺が想像してた以上に怖いわー。結衣とか三浦無理そう。ちゃんと出口まで着いてるといいんだけど。」


あたし達はそう話ながらお化け屋敷からでた。結構このお化け屋敷は怖かった。掴まれた足がまだ痛い。出口にでた途端今まで暗闇の所にいたせいか外にでた途端眩しく感じた。
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