叶うはずのない恋愛
「あれ、かえがまだ登校してきてない。」


神埼の声が聞こえてきた。そういえば、今日三人で学校に来てない。理由は前川が紗紀に先学校行っててとメールを送ったらしい。


「まじで。前川がこの時間に来てないのあんまりないんじゃ?」


時計を見ながら言う疾風。

「きっと、寝坊でもしたんだろ。」


蓮は興味なさそうに言っていた。


俺は席を立ち上がり三人の所に行った。


「翔、どうかしたの?」


急に立ち上がった俺を見て紗紀が聞いてきた。


「いや、疾風達に挨拶してくるだけ。少し、話してくる、な?」


俺がそういうと紗紀は頷いて児玉達の所に行った。俺はそんな紗紀の姿を見送ってから神崎達の所に行った。


「おはよ。」


俺はそう声をかけた。


「あ、夏川おはよ。」


「おはよ、翔。」


「翔早いな。」


それぞれ挨拶を返してくれた。


「どうかしたの?いつも自分の席からあんまり動かない夏川がここに来るってなんかあった証拠でしょ。」


神埼は退屈そうに席に座った。相変わらずコイツも勘が鋭い。


「まあな。」


俺は素直にそう答えた。嘘ついても意味ないからな。


「前川の事だろ。翔も鈍感だよな。気持ちに気付かないなんて。」


疾風はそう言って少し前川の席を見つめたのがわかった。勿論、前川はまだ来てないから机の横に鞄すらかかってなかった。
< 122 / 132 >

この作品をシェア

pagetop