叶うはずのない恋愛
「いつからだろ。かえが自分の気持ちに気付かない振りをしていたのは。」


神崎は少し考えたように言った。結局友達でもわからない前川の行動に俺が理解できるはずないよな。


「かえは昔から色々溜め込んじゃうから仕方ないと言えば仕方ないな。ただ彼女が告白したのはかえなりの考えがあったんだと思う。何も考えなしで勢いに任せたりはしない奴だから…。翔、かえが告白したのは冗談じゃないって事だけわかってやってくれよな?」


蓮は俺の方を見ながら言ってきた。あの告白が冗談じゃないなら俺はどう対応したらいいんだ?


「悪いけど前川の気持ちに答える事はできねぇ。俺は紗紀がいるから。」


そう言い切った時……。


「わかってるわよ。そんな事。知ってて告白したんだから。」


俺を悩ませてる超本人が現れた。いつもと変わりのない笑顔で…。昨日は一言も話さなかったのに今日は話しにはいってきた前川。


「何も皆が居る目の前で言わなくてもいいじゃん?」


笑ってる前川。その笑ってるのは強がりなのか?


「ゴメンネ。夏川。色々悩ませて。でもあたし後悔はしてないんだ。力が足りない事をあたしは知ってる。だけどあたしはあたしのやりたい事をするだけだよ。たとえそれが悪あがきでもね。」



前川はそう言うと神崎達に笑いかけて自分の席に向かった。正直、今日で前川が訳わからなくなった。強がりなのか今の言葉は本音なのか。
それは、神崎もそうらしく呆然と前川を見守っていた。
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