叶うはずのない恋愛
「それにしてもさ〜、
俺、前川の恋バナ聞いた事ないんですけど?俺も相談のってもらってるし、俺でよければのるぞ?」


当たり前じゃんか。
だって、あたしが好きなのは夏川です。なんて言える訳ないでしょ。あたしはそう思いながら夏川の話を聞いた。


「あたし、恋愛しないから。」


「絶対、前川してるだろ。なんかそんな感じがするんだよな。」


夏川はあたしを疑うような目で見てくる。こういう時だけ勘がいい奴はうざい。


「まさかッ。恋愛なんかしようと思わないから。ねっ?あたしが恋愛したらある意味驚きじゃん?」


あたしはわざと悪戯っぽく微笑んだ。


「絶対、前川の好きな人あててやるし。」


笑いながら言う夏川。
当てられたら困る……。


「あたしが好きなのはねッ!」


気付いたらこんな事を口走っていた。


「やっぱいるんじゃねーか。」


最悪……。こんなつもりなかったのに。


「いたとしても夏川には関係ないから!!」


あたしがそう言い切った時チャイムがなった。


キーンコーンカーンコーン。


「絶対見つけてやるからな。」


夏川が笑いながら言う。
見つかる訳ない。


「見つけれるものなら見つけてみなさいよ。あんたみたいな馬鹿には絶対無理だから!」


あたしはそう言いチャイムが鳴ったのをいい事に紗紀の席まで行った。
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