叶うはずのない恋愛
「まぁね。美術やる気ないから。」


あたしは溜め息をつきながらシャーペンをくるくる回した。課題決めて貰った方があたし的にやりやすいんだよね。


「へぇ。俺はあれ書いてる。この学校の風景画。結構難しいんだよ、これが。」


夏川はそう言って笑った。


「夏川が風景画とか…。」


結衣が笑いながら話に入って来た。


「なんだよ、神崎。なんか文句でも?」


「別に。出来上がったらじっくり見せてもらおっ。」


結衣はニッコリ笑うとまた自分の絵の世界に入った。


「ったく。神崎はよくわかんねぇ。てか、課題ぐらい決めろ。」


夏川はそう言って去っていった。


「結衣。」


「ん?」


反応しないと思って呼んだのに反応してくれた。


「あたし、黄色のチューリップと青色の薔薇書こうかな。」


黄色のチューリップの花言葉は最近新しくなったけど旧花言葉は[望みなき愛]今のあたしにピッタリ。
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