叶うはずのない恋愛
「あ、あのねッ。紗紀達ずっと生まれてから一緒に学校行ってたし、翔と付き合ってるとは言え、かえを1人で行かせるのは流石に嫌だなあ。って思って。」


笑いながら紗紀はそう言う。紗紀の気遣いは嬉しいけれど……。


「そっか。2人とも両思いになったんだね!おめでと。」


あたしはそう言って夏川と紗紀の頭をポンッと叩き玄関を出た。


「んじゃ学校行こッ?大地行くよ。」


あたしはそう笑いながら言って泣きそうになるのを堪えて、夏川と紗紀よりも前を歩いた。
大地はそんなあたしを心配そうに見ながら何も言わずに黙ってあたしの横を歩いてくれた。


「あれ、五十嵐先輩じゃん。」


学校の通学路に差し掛かった時、五十嵐と結衣の姿が見えた。
< 72 / 132 >

この作品をシェア

pagetop