叶うはずのない恋愛
「あれ、紗紀は?」


夏川の横にいるはずの紗紀の姿が見当たらない。何でだろ……。


「今日、日直だから職員室よっていくから前川と先に教室行っといて。って言われたから。それに聞きたい事もあるし?」


夏川はそう言った時変な冷気を感じた。あたし何かしたのかな…?心当たり全然無いんだけど…。


「そっか。どっか移動する?」


「狂い木の場所でいいかな。あんまり人通らないから。」


夏川はそう言って歩き出した。あたしは急いでその後を追いかけた。狂い木って言うのはもうすぐ6月になるのにまだ桜が咲いている木の所。


狂い木のある中庭に移動すればもう桜は満開だった。


中庭についたはずなのに全然口を開かない夏川に少し不安を感じた。あたし本当に何か悪い事しちゃったのかな?
その沈黙に堪えれなかったあたしは先に口を開いた。


「桜、綺麗だね。」


ひらひら舞い散る桜を見ながら言った。


「あのさ、前川。これから聞く質問に嘘をつかず答えてほしいんだ。」


急に話し出した夏川。少しその瞳が怖いと感じた。


< 75 / 132 >

この作品をシェア

pagetop