叶うはずのない恋愛
「うん。」


あたしはそう答えるしかなく夏川を見た。


「昨日、何で急に帰った?いつも約束とかは律儀に守る前川がメールだけで先帰るって言うのは有り得ないよな?」


いきなりそう聞かれあたしは心を痛めた。何で?どうして夏川はそんな事を聞いてくるの?


「用事思いだしたから…。」


あたしは夏川と目も合わせずに言った。だって、こういうしかないよね?


「前川、嘘つくなよ。俺昨日さ紗紀を家に送った時公園通ったんだ。そしたらまだ制服姿の前川と神崎と疾風の姿が見えた。しかもお前は泣いてるように見えた。何で泣いてたの?」


夏川にそう言われた言葉を頭で理解するのに大分時間がかかった。その時風が吹き桜の花びらが舞い散った。


「ごめん…。確かにあたしは昨日先に帰った。理由は様々…。その…理由を話す事はまだ……できな…い……。」


あたしは言葉に詰まりながら言った。どうして、夏川はそんな事をあたしに聞くのかがまだ理解できない。
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