叶うはずのない恋愛
「そんな大袈裟な…。そんなお世辞言っても何もでませんよッ。」


ニッコリ微笑みながら言う。


「前川先輩って、夏川先輩と付き合ってないんですか?私、てっきり前川先輩は夏川先輩と付き合ってるって思ってました。」


川辺さん?だっけな。その女の子があたしを見ながら言った。あたしと夏川が付き合ってるか…。きっとそんな事はないだろう。夏川にとってあたしは友達以上恋人未満なんだから。


「夏川と付き合ってるのはあたしの幼なじみでもある三浦 紗紀さんだよ。あたしと夏川はただのクラスメイトなのです。」


「三浦先輩ですか…。前川先輩は夏川先輩の事好きじゃないのですか?」


この年の子って恋バナ好きだよね。隣にいる大地を見ると笑いをこらえたような顔をしていた。気付いてるなら助け舟だせよ…。


「夏川とあたしは仲の良い友達でそれ以上は何も無いんだ。あー、あえて言うならあたしは紗紀と夏川の恋愛相談相手?」


あたしはそう言って、微笑んだ。夏川に想いを伝えようとすら思わないあたしは逃げ続けてるんだろうね。この関係を壊したくないから、想いは伝えれない。でも、もしあたしが夏川に告白してたら今、夏川の隣に居る人があたしなのかなって考えてしまう。そんな馬鹿な事あるわけないのに。
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