バレンタインの夜にシンデレラ
告白
バレンタインデーは
あたしの22回目の誕生日。
あたし山本美鈴の欲しいもの
相手の心まで欲しいとは言わない
一夜限りでいい
お洒落なバーで過ごしたい
あたしはそれをシンデレラと言う。
「シンデレラとか
まだそんな変なこと言ってんの?
そんなことより告ってみたら?
いつまでも片想いってさみしいじゃん」
あたしが誰に片想いしてるか知っているから
告ってみ?なんて煽る。
「振られるの確実ですから
それならこのままでいいんです
だから魔法が掛けられたらいいのにな
なんておとぎ話ですよ」
「ふーん変な子」
そこに
「変な子?おとぎ話って?」と言いながら
今話題の佐藤蓮主任が来た。
「誕生日に
シンデレラになりたいんだって」
「ちょっと・・・先輩やめてください
恥ずかしいじゃないですか」
「何?シンデレラ」
「あっ!この子ね」
先輩に余計なことを言われる前に
先に言わなくちゃ。
「お洒落なバーで夜景を見ながら
素敵な王子様と過ごしたい・・・的な?」
佐藤主任はしばらく考えていたが
「シンデレラにならせてあげようか?」
「えっ?」
「オレじゃ王子様になれない?」
「いえ・・・あの・・・その・・・」
「うーんつかさビルのキャンドルって
言う店どう?お洒落だよあそこ」
「えっ?いいんですか?」
「日頃の頑張りのご褒美だよ」
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