純恋イケメンガールを好きになる!





志島には何も無いと言ったが、あれは嘘だ。


変わったことというか、気になることは1つだけある。



……また、誰かにつけられてる……。



ここ最近、毎日そうだった。


何が理由かは全く分からないが、休み時間や放課後になる度、鋭い視線と自分を追う足音に気が付いていた。



足音を聞く限り、歩幅が自分より小さいから女の子だろうとは思う。


だけど姿を見たわけではないから、確信は無い。


それに最初は少し怖かったものの、毎日視線を感じるだけで特に何かがあるわけでもない。



いつも通り放っておくか……。



そう思い、再び部室までの道のりを歩き出した。





…………途端。



「先輩って、ズルいですよね。」



え……?



「自分に惚れる女の子を見て、心の中で嘲笑ってたんですか?」



振り返ることもなく、体が傾いていく……。



「…………そんな人に、祥一くんは渡さない。」



祥一……って、芦谷……?



「……それじゃあさようなら。“女の子”な岸和田先輩……。」



その言葉を最後に、俺の意識は完全に途切れた。





< 163 / 259 >

この作品をシェア

pagetop