純恋イケメンガールを好きになる!
志島には何も無いと言ったが、あれは嘘だ。
変わったことというか、気になることは1つだけある。
……また、誰かにつけられてる……。
ここ最近、毎日そうだった。
何が理由かは全く分からないが、休み時間や放課後になる度、鋭い視線と自分を追う足音に気が付いていた。
足音を聞く限り、歩幅が自分より小さいから女の子だろうとは思う。
だけど姿を見たわけではないから、確信は無い。
それに最初は少し怖かったものの、毎日視線を感じるだけで特に何かがあるわけでもない。
いつも通り放っておくか……。
そう思い、再び部室までの道のりを歩き出した。
…………途端。
「先輩って、ズルいですよね。」
え……?
「自分に惚れる女の子を見て、心の中で嘲笑ってたんですか?」
振り返ることもなく、体が傾いていく……。
「…………そんな人に、祥一くんは渡さない。」
祥一……って、芦谷……?
「……それじゃあさようなら。“女の子”な岸和田先輩……。」
その言葉を最後に、俺の意識は完全に途切れた。