純恋イケメンガールを好きになる!
薄暗く静かだった倉庫内に、扉1枚挟んだ向こう側から、叫ぶような声が響く。
「……どうせ、自分は祥一くんに好かれてるから、あたしなんか敵じゃないって思ってるんでしょ。」
「ちがっ! そんなこと思ってな……!」
「っ……岸和田先輩はズルいよ!!」
ズルい……っ? 俺が……?
「だって…………だって先輩は!」
ふと、嫌な予感がした。
ただでさえ寒さで体が震えていたというのに、一瞬ゾクッとした悪感が、背筋を走った。
まさか……。
「あたし、知ってるよ。」
俺の、正体を……
「岸和田先輩が、あたし達と何も変わらない女の子だってこと。」
知ってる…………?