純恋イケメンガールを好きになる!
このときのおれは、正直に言って浮かれていた。
やっと純恋先輩に、男として意識をしてもらえるようになって、忘れていたんだ。
純恋先輩が、男装しているということを。
「あたし、聞いちゃった。」
「何を?」
あまりにも今の姿が自然で、それに慣れてしまっていて。
「岸和田先輩…………女の子なんだってね。」
先輩が女だっていうこと
頭でしか理解していなかった。
あのとき……あのとき、おれが藤崎を止めていれば……。
藤崎は言った。
このことがバレたくなかったら、岸和田先輩とは距離をとって、と。
最初は意味が分からなくて、藤崎に聞き返した。
「付き合って、とか、好きになって、とか。そんなことは言わないから…………。岸和田先輩とだけは、付き合わないで。」
「自分を偽る人なんかに、祥一くんは渡せない。……特にそれが、あたし達と同じ女の子ならよけいに。」