純恋イケメンガールを好きになる!





――わかっていた。



あたしなんかが岸和田先輩に敵わないことなんて、そんなこと


本当はずっと前からわかっていた。



それでも



「ふ、うぅ、ぁ……っ。」



祥一くんが好きだった。



理由なんて分からない。


きっかけだって特にない。



気づけば好きだった。



彼に、恋してた。



「祥一、くん……っ。」



好きだったからこそ、祥一くんがどれだけ岸和田先輩を想っていたか、あたしには分かる。



どれだけ心を許して心から微笑み、

どれだけ傷つけないようにと優しく接し、


どれだけ愛おしく、大切に想っていたことか。



あたし達がどんなに知りたくてもしれなかった顔を、岸和田先輩は簡単に見ることができるんだ。


…………そう思うと、ちょっと妬けた。





< 185 / 259 >

この作品をシェア

pagetop