純恋イケメンガールを好きになる!





腕を捕まれていたのに、気付けばそれは手へと変わっていた。


繋がれた手を引かれ、体が目の前の芦谷へと近付く。



「……純恋先輩。」



そう声が聞こえたかと思うと。



――チュ...



唇…………いや、口の端にリップ音と柔らかな感触。



「……ふは、可愛い。先輩も真っ赤だ、顔。」


「~~~~~~~っっっ!!!!」



口元を隠すようにして慌てて後ずさりすれば、芦谷はさっきまでの俺のように、こっちを見て笑っていた。



く、悔しい……っ。


芦谷のくせに生意気な!



「ざまあみやがれ。」



睨む俺にそう言いつけて、芦谷は俺の手を引く。


さっきと違って、最初から手のひらで。





< 222 / 259 >

この作品をシェア

pagetop