赤い婚礼衣装


 ***




 世界を創った神が、いくつか種族を生んだ。それだけじゃない。様々なものを産み出した。それから幾年がたったか私はわからないし、誰にもわからない。

 私は半神だった。

 父は天上に住まう神であり、地上に生きた母と恋に落ちた。それで生まれたのが私で、この時半神というのは珍しい存在だった。

 父は天上を去り、母とともに生きることを決めたのである。


 地上にいる半神はいくらかいた。それでも数は少ないことは間違いない。
 平和な日々が続いた。母や父の愛を受けながら過ごした中、それは起こった。
 とある神が地上を荒らし始めたのである。


 ――――悪神エニンルド。


 もとは力のある神だったそうだが、突然変わってしまったという。
 エニンルドだけではない。いく名かの神は悪神となり、地上を荒らし始めた。


 天上と地上ならば、天上の方が地位は上である。天上でも混乱が生じた。地上まで彼らの加護が回らなかったため、地上は更に荒れた。


 まるで死神のように人の命を奪う。神でさえ刈り取る。


 ―――――何故です!


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