オタ女子奈都子
友美からの家の帰り道。
誰も居ない1DKの古びた自宅アパートに向かっている。「肝心な事聞けなかったな~」モヤモヤして独り言がつい漏れてしまう。
あれから、山本をいかに虜にさせるかという作戦話になってしまい本来知りたかった男は、こういう時本音はこう思っている的な事は聞けなかった。


どうして山本が私に気持ちを言ってくれないのか?



何でバツイチになったのか?前の奥さんとは子供がいるのか?前の奥さんに気持ち残してないか?


私の事本当はどう思っているかなど

新しい不安も出てきたし…悩みの種はどんどん増えていきそう。


それにしても参ったな。相手が答えにくい事ばかり気になってる。山本が私に気持ち言えないのはバツイチになってからなのかな?
それとも私だから言えないの?


そう思い悶々としていたら山本から電話がきた。


「もしもし、今話をしても大丈夫?」山本の声を聞くだけで胸がキュン、キュンしてしまう。


「うん。」
さっき会ってたのに、もう会いたくてたまらない。
「良かった。実はさっきまで大学時代の友達と会っていて再来週の土曜日なんだけどさ一緒に友達の家でバーベキューしない?」


「私も招待してくれるの?」自分のテリトリーに入れてくれるなんて嬉しい。
私を受け入れてくれているって事だよね。
「当然でしょ?彼女なんだから」
おお!彼女認定。有り難うございます!


「すっごく嬉しい。こういうの憧れで今まで一度もなかったから」前彼もそうだけど私の恋愛って一度も自分のテリトリーに入れて貰った経験ないんだよね。


「そうなの?初めて?」嬉しそうに笑いながら言った。「うん。再来週楽しみだな~あ!手土産いるよね?何が好み?」
「そうだな~子供がいるからケーキやお菓子?」
「了解。用意しておくね」
「いいよ。2人で買いに行こう。当日に」
ふ、2人で!初共同作業!嬉しいな。
夢にまで見た光景を今私は体験してるんだな。
どうしよう!今日はアドレナリンが大放出!
興奮しすぎて眠れないかも?
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