オタ女子奈都子
「長かったね。」
心配そうな顔をして山本は言った。

「亜美さんと女子トークしててごめんね」
色んな話が出来て楽しかったけど不安はさらに倍増。消え失せた悩みと新たなる不安が積み重なって苦しいよ。


「そっか。楽しめた?バーベキュー?」
穏やかな表情を見せながら私を見つめる。

「うん。有り難う。誘ってくれて」
楽しかったし山本の事色々知れて嬉しかったけど本人の口から語って欲しいな。

「また四人で遊ぼう」


「うん。でも2人の時間も欲しい」

言われた言葉がたまらなく寂しくて言ってしまった。四人ではまた会いたいよ。でもそれって2人では会いたくないっていう事?
さっきの気まずい空気もあるから敏感になっちゃうよ。

基本、私ネガティブ思考だから…


「イヤイヤ、皆で会うのは将来的に安定したら定期的に会いたいなという意味で大事なのは2人の時間だから」慌てて山本は言った。


「うん。そうだね」
山本に合わせてこう言ったけど今微妙な事言わなかった?
"将来的に安定したら"とは一人称?二人称?
このセリフはプロポーズ的意味合いも含んでる?
サラッと言うから言葉が流れていくよ。



「という事で今日は俺んちに、お泊まり決定だね」
目を輝かせながら私の左手に右手を入れてきた。いわゆるカップル繋ぎ。


「はい」山本から誘ってくるなんて珍しい。
手も絡ませてくるし、雰囲気が甘いんだけど

「じゃあ早く帰ろう。バーベキューの片付けも終わったし後は2人の時間」
そう言って私の唇や首筋を優しく触ってきた。

気付けば庭には2人だけで家の照明は消えて辺りは真っ暗。
今なら何をしても大丈夫そうな暗さ。

「うん。帰ろ…」私が言い終わらないうちにキスしてをしてきた。
握っていたはずの右手はいつのまにか私の胸元へ行き胸を揉みしだきだした。


「これ以上はダメ。家でね」流れに身を任せそうになったけど、ここは亜美さん宅。


「ごめん。そうだね。もう待てないから車じゃ駄目?」

「分かった」
私も欲求が抑えられなかった。
足早に車に戻り近くの誰もいない公園で何度も抱きあった。

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