オタ女子奈都子
別れから一転。私に彼が出来た。相手は私を暗黒時代へと誘導した首謀者。
前彼とは半年ほど会ってなかったとはいえ別れは一週間前。
前彼に対しての気持ちは少し残っているかもしれないけど、それが愛情なのか執着なのか、ただの思い出なのか整理がまだ出来てはいない。
そんな中での山本とのデート。感じる罪悪感と時折浮かび上がってくる山本に対しての暗黒時代の怒りが浮かび上がってくる。
「ナツ!こっち」改札口を出てすぐの広場での待ち合わせ。私が迷わないように手を振り教えてくれる。優しい!保阪は待ち合わせ時間に遅れてきても謝りもしなかったな。
「待った?」私よりも早い時間に来てる。待ち合わせ10分前に到着したのに「いや。早く着いてさ、映画のチケット買いに行けたよ」笑いながらこう言って私にチケットを渡してくれた。ヤバい!今キュンってしてしまった。彼は王子様だ。長身で整った顔立ち。サラサラの髪。それだけでも漫画に出てくるヒーローなのに女性をエスコートする能力も備わっているなんて私の憧れのツボ。こんな人が彼なんて大丈夫?私勘違いしてないかな?まさかの夢オチだったりしないよね?「あ、ありがとう。買って来てくれて。今チケット代払うね。」意識して声が上擦ってしまった。
「ここは俺のおごり。」ス、スマート!
「じゃあ館内での飲み物とポップコーンは任せて」
「任せる。おすすめは何?」私の髪を上からクシュとさせながら何回か撫でた手つきが柔らかだった。
ツボすぎる!こういう事一度されて見たかった。女の扱い上手すぎるよ山本。



< 8 / 31 >

この作品をシェア

pagetop