温もりを抱きしめて【完】
新学期
9月1日。
まだまだジリジリとした暑い日が続く中、今日から帝桜学園も2学期がスタートする。
「ほら、あの人らしいよ?西園寺様の婚約者」
「え、彼女いたでしょ!別れちゃったの?」
「政略結婚だってー、仕方ないよね」
二宮さんが運転してくれた車を降りて、昇降口に着くまでの間に周りからそんな声が聞こえてきた。
夏休み前とは違う周囲の視線。
それは決して気分のいいものではなかったけれど、婚約を正式発表した時点でこうなることは予想がついていた。
私は何も聞こえてないフリをして、教室までの道のりを歩く。
いつもより少しだけ、背筋を伸ばして。
一番緊張したのは、教室に入る前だった。
他の生徒から直接何か言われることはなくても、クラスの子から何か聞かれるかもしれない。
そう思ったからだ。
教室に入る瞬間に、思わず足に力が入った。
「おはよう」
教室に入ると、ドアの近くに座っていた委員長が明るい声でそう言う。
「、おはよう」
身構えてしまい、不自然な挨拶になってしまったけれど、委員長からはそれ以上の言葉はなかった。
あれ?と思いながら、自分の席に向かう。
「あ、伽耶ちゃん!おはよー」
「おはよう、すみれちゃん」
さすがに西園寺様ファンの彼女からは……と思ったけど、予想に反してすみれちゃんもいつも通りの反応でその後は他愛ない話をするだけだった。
何でだろう、という疑問はあった。
でも、学校にいる間ほとんど一緒にいるクラスメイトがこういう反応なのはありがたかった。
まだまだジリジリとした暑い日が続く中、今日から帝桜学園も2学期がスタートする。
「ほら、あの人らしいよ?西園寺様の婚約者」
「え、彼女いたでしょ!別れちゃったの?」
「政略結婚だってー、仕方ないよね」
二宮さんが運転してくれた車を降りて、昇降口に着くまでの間に周りからそんな声が聞こえてきた。
夏休み前とは違う周囲の視線。
それは決して気分のいいものではなかったけれど、婚約を正式発表した時点でこうなることは予想がついていた。
私は何も聞こえてないフリをして、教室までの道のりを歩く。
いつもより少しだけ、背筋を伸ばして。
一番緊張したのは、教室に入る前だった。
他の生徒から直接何か言われることはなくても、クラスの子から何か聞かれるかもしれない。
そう思ったからだ。
教室に入る瞬間に、思わず足に力が入った。
「おはよう」
教室に入ると、ドアの近くに座っていた委員長が明るい声でそう言う。
「、おはよう」
身構えてしまい、不自然な挨拶になってしまったけれど、委員長からはそれ以上の言葉はなかった。
あれ?と思いながら、自分の席に向かう。
「あ、伽耶ちゃん!おはよー」
「おはよう、すみれちゃん」
さすがに西園寺様ファンの彼女からは……と思ったけど、予想に反してすみれちゃんもいつも通りの反応でその後は他愛ない話をするだけだった。
何でだろう、という疑問はあった。
でも、学校にいる間ほとんど一緒にいるクラスメイトがこういう反応なのはありがたかった。