温もりを抱きしめて【完】
夕方になり、支度を済ませた私たちは二宮さんの運転でパーティ会場へと辿り着いた。
軽井沢では有名な高級ホテルで、エントランスに着いた私たちを2人のドアマンが迎えてくれた。
「西園寺様、藤島様、お待ちしておりました」
こちらへどうぞ、と案内してくれる彼らに続こうとしたけれど、隣の要さんが動かない。
ふと目を向けると、腕を出した彼が私を見ていた。
ああ、とそのポーズを見て納得した私は、要さんの腕に自分の腕をスルリと絡ませた。
それを見た要さんは歩き出すと、私の耳に口元を近づけて「会場では出来るだけ傍を離れるなよ」と小声で言った。
「…ハイっ///」
かろうじてそう返事をしたけど、その言葉と距離の近さにドキッとして赤くなった顔は隠せない。
単純に嬉しかった私は、要さんにそんな所を見られていないか心配だったけど、隣を歩く彼は涼しい表情をしているだけだった。
初めての恋に浮かれている私は、もうそれだけで充分だった。
好きな人の傍にいられて。
「傍を離れるな」なんて言葉が聞けて。
ただそれだけで世界がピンク色に染まったかのような気持ちになって、もうそれだけで舞い上がっていた。
この時だけは彼女の存在を忘れて、ただ要さんの隣で笑っていられた。
軽井沢では有名な高級ホテルで、エントランスに着いた私たちを2人のドアマンが迎えてくれた。
「西園寺様、藤島様、お待ちしておりました」
こちらへどうぞ、と案内してくれる彼らに続こうとしたけれど、隣の要さんが動かない。
ふと目を向けると、腕を出した彼が私を見ていた。
ああ、とそのポーズを見て納得した私は、要さんの腕に自分の腕をスルリと絡ませた。
それを見た要さんは歩き出すと、私の耳に口元を近づけて「会場では出来るだけ傍を離れるなよ」と小声で言った。
「…ハイっ///」
かろうじてそう返事をしたけど、その言葉と距離の近さにドキッとして赤くなった顔は隠せない。
単純に嬉しかった私は、要さんにそんな所を見られていないか心配だったけど、隣を歩く彼は涼しい表情をしているだけだった。
初めての恋に浮かれている私は、もうそれだけで充分だった。
好きな人の傍にいられて。
「傍を離れるな」なんて言葉が聞けて。
ただそれだけで世界がピンク色に染まったかのような気持ちになって、もうそれだけで舞い上がっていた。
この時だけは彼女の存在を忘れて、ただ要さんの隣で笑っていられた。