温もりを抱きしめて【完】
彼女と私
5日間の休みも終わり、また学校生活が始まった。
授業では来月に控えた体育祭の練習が増え、疲れの所為か、教室のあちこちに居眠りをしている生徒がいる。
私も、ホワイトボードに向かって喋り続けている先生の話を聞かずに、窓の外をぼんやりと眺めていた。
グランドでは1年生がリレーの練習をしている。
あの軽井沢のホテルでの翌朝。
目を開けると、肘をついてこちらを見つめる要さんと目が合った。
『…よく寝てたな』
恥ずかさで私の眠気は一気に覚め、慌てて布団を被ると、ククッという笑い声が聞こえきた。
布団越しにポンポンと頭を撫でて、要さんはシャワーを浴びに浴室へと行ってしまった。
そろりと被っていた布団から顔を出し、ドキドキとうるさい胸を押さえた。
その後、私もシャワーを浴びて、身支度を整えた私達は二宮さんに迎えに来てもらい、別荘へと戻った。
それから残りの日も、特に要さんとの間で何かあった訳でもなく、変わりない別荘生活を過ごした。
あのキスのことを、要さんは覚えてるんだろうか?
あまりにも要さんが普通すぎて、そんな言葉が頭を何度も巡った。
酔っていたし、もしかしたら要さんにとってキスくらい何ともないのかも…という考えも過ぎったけれど。
あれは紛れもなく、私にとってはファーストキスだった訳で。
なかった事に出来る程の余裕なんて、これっぽっちもなかった。
グランドではコーンを片手に倉庫へ向かう生徒が何人かいた。
時計を見れば、授業終了まで後5分になっていた。
私は周りが気付かないくらいの小さな溜息を吐いて、写しそびれていたホワイトボードの字を追った。
授業では来月に控えた体育祭の練習が増え、疲れの所為か、教室のあちこちに居眠りをしている生徒がいる。
私も、ホワイトボードに向かって喋り続けている先生の話を聞かずに、窓の外をぼんやりと眺めていた。
グランドでは1年生がリレーの練習をしている。
あの軽井沢のホテルでの翌朝。
目を開けると、肘をついてこちらを見つめる要さんと目が合った。
『…よく寝てたな』
恥ずかさで私の眠気は一気に覚め、慌てて布団を被ると、ククッという笑い声が聞こえきた。
布団越しにポンポンと頭を撫でて、要さんはシャワーを浴びに浴室へと行ってしまった。
そろりと被っていた布団から顔を出し、ドキドキとうるさい胸を押さえた。
その後、私もシャワーを浴びて、身支度を整えた私達は二宮さんに迎えに来てもらい、別荘へと戻った。
それから残りの日も、特に要さんとの間で何かあった訳でもなく、変わりない別荘生活を過ごした。
あのキスのことを、要さんは覚えてるんだろうか?
あまりにも要さんが普通すぎて、そんな言葉が頭を何度も巡った。
酔っていたし、もしかしたら要さんにとってキスくらい何ともないのかも…という考えも過ぎったけれど。
あれは紛れもなく、私にとってはファーストキスだった訳で。
なかった事に出来る程の余裕なんて、これっぽっちもなかった。
グランドではコーンを片手に倉庫へ向かう生徒が何人かいた。
時計を見れば、授業終了まで後5分になっていた。
私は周りが気付かないくらいの小さな溜息を吐いて、写しそびれていたホワイトボードの字を追った。