温もりを抱きしめて【完】
窓の下をそーっと覗き込むと、そこには以前要さんの事でつっかかってきた要さんファンの女の子達がいた。
囲んでる相手は...?
そう思って目を凝らしてみると、リーダー格の女の子の前には要さんの彼女だった―――藤堂さんの姿が。
―――え、どういう事?
思わずその場にしゃがみこみ、向こう側から見えない位置に座り込んだ。
その間も彼女たちの声は聞こえてくる。
「アンタもむかついてるでしょ?公認の彼女とまで言われてたのに、あっさり婚約者に西園寺様を持っていかれて」
「ホントは腹立ってるんじゃないの?あの婚約者が憎いでしょう?」
なるほど、彼女達はまだ諦めてなかったのか。
大方藤堂さんにけしかけて、嫌がらせをしようと目論んでるに違いない。
……彼女は、なんて返すんだろう。
それが気になって仕方なかった私の足は、その場から動かなかった。
だけど、聞かなきゃよかった。
「そんな事思ってないよ。だって、要くんが決めた人だもん」
おっとりとした女の子だと思っていた彼女の、凛としたしっかりとした言葉。
「きっと、素敵な人だって思ってる」
その清らかさすら感じてしまう言葉に、私は掌をぎゅっと握りしめた。
「何よ、その目!折角心配してあげたのに」
「それはどうもありがとう。私は大丈夫だから、お構いなく」
険悪な空気を感じてそろりと窓の外を見ると、リーダー格の女が藤堂さんに向かって手を振り上げているところだった。
「先生!こっちです!」
咄嗟に大声でそう叫んだ私は、そのまま廊下を駆け出した。
囲んでる相手は...?
そう思って目を凝らしてみると、リーダー格の女の子の前には要さんの彼女だった―――藤堂さんの姿が。
―――え、どういう事?
思わずその場にしゃがみこみ、向こう側から見えない位置に座り込んだ。
その間も彼女たちの声は聞こえてくる。
「アンタもむかついてるでしょ?公認の彼女とまで言われてたのに、あっさり婚約者に西園寺様を持っていかれて」
「ホントは腹立ってるんじゃないの?あの婚約者が憎いでしょう?」
なるほど、彼女達はまだ諦めてなかったのか。
大方藤堂さんにけしかけて、嫌がらせをしようと目論んでるに違いない。
……彼女は、なんて返すんだろう。
それが気になって仕方なかった私の足は、その場から動かなかった。
だけど、聞かなきゃよかった。
「そんな事思ってないよ。だって、要くんが決めた人だもん」
おっとりとした女の子だと思っていた彼女の、凛としたしっかりとした言葉。
「きっと、素敵な人だって思ってる」
その清らかさすら感じてしまう言葉に、私は掌をぎゅっと握りしめた。
「何よ、その目!折角心配してあげたのに」
「それはどうもありがとう。私は大丈夫だから、お構いなく」
険悪な空気を感じてそろりと窓の外を見ると、リーダー格の女が藤堂さんに向かって手を振り上げているところだった。
「先生!こっちです!」
咄嗟に大声でそう叫んだ私は、そのまま廊下を駆け出した。