温もりを抱きしめて【完】
「ねぇねぇ!そこのアナタ!」
呼びかけられ、思わず左右を見る。
もちろん誰もいないので、『アナタ』というのは私らしかった。
「あの、...私?」
自分の方を指差しながら尋ねると、彼女は大きく頷いた。
「そう!アナタ!そこから、ピンクのハンカチ見えない?落としちゃって、探してるの!」
どうやら彼女の探し物は、ハンカチのようだ。
私は言われた通り、辺りを見渡してみた。
花壇の多いこの庭には色とりどりの花が植えてあって、なかなかピンク色のハンカチを見つけることなんて出来ないけど・・・
「あ、あった!」
彼女がいる位置から、数m離れた花壇の中に小さくなったピンクのハンカチが見えた。
「嘘!どこどこ?」
「えっと、もっと右側」
「右?えーっと、」
と言いながら、私が言う右とは反対の方向に歩いていく彼女。
言うより行った方が早い。
そう思った私は、いつもより少し大きな声で彼女に呼びかけた。
「ちょっと待ってて!すぐ下に降りるから」
私はそう言うと、机の上に置いてあった弁当箱の包みと水筒を手にとって席を立った。
呼びかけられ、思わず左右を見る。
もちろん誰もいないので、『アナタ』というのは私らしかった。
「あの、...私?」
自分の方を指差しながら尋ねると、彼女は大きく頷いた。
「そう!アナタ!そこから、ピンクのハンカチ見えない?落としちゃって、探してるの!」
どうやら彼女の探し物は、ハンカチのようだ。
私は言われた通り、辺りを見渡してみた。
花壇の多いこの庭には色とりどりの花が植えてあって、なかなかピンク色のハンカチを見つけることなんて出来ないけど・・・
「あ、あった!」
彼女がいる位置から、数m離れた花壇の中に小さくなったピンクのハンカチが見えた。
「嘘!どこどこ?」
「えっと、もっと右側」
「右?えーっと、」
と言いながら、私が言う右とは反対の方向に歩いていく彼女。
言うより行った方が早い。
そう思った私は、いつもより少し大きな声で彼女に呼びかけた。
「ちょっと待ってて!すぐ下に降りるから」
私はそう言うと、机の上に置いてあった弁当箱の包みと水筒を手にとって席を立った。