温もりを抱きしめて【完】
「夏希ちゃんって、副会長だったの?」


「うん。そっか、伽耶は転校してきたから知らないよね〜…行事的なものも特にないから、前に出る機会もなかったし」


夏希ちゃんはドアをガチャリと開けて中に入っていく。

恐る恐る中を覗くと、そこには誰もいなかった。


ロの字型に机が配置されていて、前にはホワイトボードがある。

壁際にある棚の中には、いろんな資料と思われりファイルがぎっしりと詰まっていた。


誰もいない事にホッとため息をついて、私も中に足を踏み入れると、夏希ちゃんが「こっちこっち」と手招きをする。

側に行ってみると、窓際の日当たりのいい場所に可愛らしい青や紫、白のロベリアの花鉢が置いてあった。



「ココにもお花置かせてもらってるんだ!可愛いでしょ?」

「そうだね、色合いも綺麗」


私の返事を聞いた夏希ちゃんは、「でしょでしょ」と言うと近くにあった椅子に腰かけた。


「…元々ね、この学校に園芸部なんてなかったんだ」


ポツリポツリと話し出した夏希ちゃん。

私はグランドから聞こえてくる運動部のかけ声をバックに、そんな彼女の話に耳を傾けた。
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