温もりを抱きしめて【完】
夏希ちゃんの話によると、園芸部が出来たのは2年前。
丁度夏希ちゃんが1年の3学期の時だったそうだ。
花が好きな夏希ちゃんは、入学当初から園芸部の立ち上げを試みていたみたいだけど、部員数が集まる見込みがなくて生徒会になかなか受理されなかったらしい。
「そんな時たまたまクラスが一緒だった今の会長が言ってくれたの。『諦めるなよ』って」
「会長って…西園寺くんが?」
「そう!私が持ってた園芸部の立ち上げ案見て、『この学校に必要な部だ』って言って…1年の時の生徒会選挙で会長になってすぐに承認してくれたんだ」
「1年で生徒会長になったの?」
「そうだよ?もう圧勝で2年の候補者に勝っちゃって。いい意味でも悪い意味でも目立つからね、会長は」
夏希ちゃんはその時のことを思い出したのか、クスクス笑いながら話を続ける。
「偉そうな態度が気に入らない上級生もいたみたいだけど、『文句がある奴は直接言いに来い』って嫌味な先輩とやり合ったこともあったよ。いやー、あの先輩はみんな煙たがってたからスカッとしたなー」
夏希ちゃんはケラケラ笑いながら、椅子から立ち上がって私を見る。
「頑張ってる人をちゃんと見てくれてるんだ、あの人」
その一言がやけに大きく部屋に響いた気がした。
「いい奴でしょ?ウチの会長」
にっこりと笑って夏希ちゃんは、そう言うけれど。
普段見ている要さんの姿と全然一致しなくて、私はただ曖昧に笑みを返すことしか出来なかった。
丁度夏希ちゃんが1年の3学期の時だったそうだ。
花が好きな夏希ちゃんは、入学当初から園芸部の立ち上げを試みていたみたいだけど、部員数が集まる見込みがなくて生徒会になかなか受理されなかったらしい。
「そんな時たまたまクラスが一緒だった今の会長が言ってくれたの。『諦めるなよ』って」
「会長って…西園寺くんが?」
「そう!私が持ってた園芸部の立ち上げ案見て、『この学校に必要な部だ』って言って…1年の時の生徒会選挙で会長になってすぐに承認してくれたんだ」
「1年で生徒会長になったの?」
「そうだよ?もう圧勝で2年の候補者に勝っちゃって。いい意味でも悪い意味でも目立つからね、会長は」
夏希ちゃんはその時のことを思い出したのか、クスクス笑いながら話を続ける。
「偉そうな態度が気に入らない上級生もいたみたいだけど、『文句がある奴は直接言いに来い』って嫌味な先輩とやり合ったこともあったよ。いやー、あの先輩はみんな煙たがってたからスカッとしたなー」
夏希ちゃんはケラケラ笑いながら、椅子から立ち上がって私を見る。
「頑張ってる人をちゃんと見てくれてるんだ、あの人」
その一言がやけに大きく部屋に響いた気がした。
「いい奴でしょ?ウチの会長」
にっこりと笑って夏希ちゃんは、そう言うけれど。
普段見ている要さんの姿と全然一致しなくて、私はただ曖昧に笑みを返すことしか出来なかった。