温もりを抱きしめて【完】
生徒会室の植木鉢に水やりをしている夏希ちゃんをぼんやりと見る。
鼻歌混じりで花の手入れをする彼女の機嫌は良さそうだった。
ふと視線を外すと、すぐ傍の机の上にクッキーの包みが置いてあるのが見えた。
赤と白のチェックのリボンがついている透明の袋に入った、丸型のクッキー。
それを見て、要さんが彼女と食べていたクッキーを思い出す。
「あ、コレいる?」
じーっと見ていたのを、欲しいと勘違いした夏希ちゃんはそう言って私にクッキーの包みを1つ差し出してくれた。
「手作りクッキーだよ」
「夏希ちゃんの?」
「うん、お菓子作りも趣味だから♪食べてみてよ」
私はリボンを解いて包みを開けると、小さな丸型のクッキーを1つ取り出した。
食べてみると、ほんのりと紅茶の味がしてとってもおいしいクッキー。
「おいしい!紅茶味?」
「そ!ウチの会長のお墨付きクッキーだからね、自信作」
その言葉に、また胸がドキンと鳴る。
「...西園寺くんも、このクッキー好きなんだ」
「甘いもの苦手みたいだけど、これはよく食べてるよ」
私は手元のクッキーを見つめて、彼女と談笑する要さんの姿を思い浮かべた。
「………」
ギュッと握り締めたクッキーを持って、私は夏希ちゃんの方を見た。
「あの、夏希ちゃん...」
オレンジ色の空が私たちを照らす。
私のお願いに、夏希ちゃんは「それくらいお安い御用!」と言って笑ってくれた。
鼻歌混じりで花の手入れをする彼女の機嫌は良さそうだった。
ふと視線を外すと、すぐ傍の机の上にクッキーの包みが置いてあるのが見えた。
赤と白のチェックのリボンがついている透明の袋に入った、丸型のクッキー。
それを見て、要さんが彼女と食べていたクッキーを思い出す。
「あ、コレいる?」
じーっと見ていたのを、欲しいと勘違いした夏希ちゃんはそう言って私にクッキーの包みを1つ差し出してくれた。
「手作りクッキーだよ」
「夏希ちゃんの?」
「うん、お菓子作りも趣味だから♪食べてみてよ」
私はリボンを解いて包みを開けると、小さな丸型のクッキーを1つ取り出した。
食べてみると、ほんのりと紅茶の味がしてとってもおいしいクッキー。
「おいしい!紅茶味?」
「そ!ウチの会長のお墨付きクッキーだからね、自信作」
その言葉に、また胸がドキンと鳴る。
「...西園寺くんも、このクッキー好きなんだ」
「甘いもの苦手みたいだけど、これはよく食べてるよ」
私は手元のクッキーを見つめて、彼女と談笑する要さんの姿を思い浮かべた。
「………」
ギュッと握り締めたクッキーを持って、私は夏希ちゃんの方を見た。
「あの、夏希ちゃん...」
オレンジ色の空が私たちを照らす。
私のお願いに、夏希ちゃんは「それくらいお安い御用!」と言って笑ってくれた。