温もりを抱きしめて【完】
朝食を食べ終えた私は、身支度を整え、いつもと同じように二宮さんが運転する車で登校した。

「いってきます」と彼に挨拶した後、私を出迎えてくれたのは【第83回帝桜祭】と書かれた大きなアーチだった。



いよいよ2日後に帝桜祭を控え、校内はお祭りモード一色。

この2日間は授業も一切なくなり、終日準備の時間に当てられる。

校内に限らず、至る所に装飾が施されて、学校中が普段とはまた違った雰囲気になっていた。


朝から作業したおかげで、ウチのクラスの装飾もほぼ完成。

午後から接客係りは、衣装合わせを行っている。

私は調理係りの子を集めて、明日行う下準備をする際の衛生管理について説明をしていた。



「伽耶ちゃん!」


そんな時、ガラッと教室のドアを開けた綾子ちゃんが大声で私を呼んだ。

クラスのみんながそっちを向き、慌てた様子の彼女を「何だ何だ」と見ていた。
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