温もりを抱きしめて【完】
「すみません!」

生徒会室のドアをノックしてそう言うと、中から夏希ちゃんが姿を現した。


「ちょ、伽耶どうしたの?そんなに慌てて」

「ウチのクラスの仕入れ業者に注文してた食材が届いてなくて…っ、今から別の業者探すからリスト貸してくれないかな…っ」

「え、そうなの?!ちょっと待ってよ!」


息を切らしながらそう言う私の言葉に、夏希ちゃんが慌てて生徒会室の棚にあるファイルを探し出す。

部屋の中には夏希ちゃんしかいなくて、他の役員は出払っているようだった。



「ごめんね、夏希ちゃんも準備で忙しいのに」

「いいの、いいの!気にしないで!でも、ちょっと待ってよ〜…どこだったかなー?仕入れ業者リスト」


前日の明日には仕込みがあるから、午前中には食材を揃えておきたい。

その為にも何とか今日中に仕入先を確保しておかないと、間に合わない。

たとえ向こうのミスであっても、確認を怠ったのは私。

帝桜祭のために頑張ってきたクラスのみんなに、迷惑をかけるような事は避けたかった。
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