温もりを抱きしめて【完】
「どうするつもりなんだ?明日の下準備間に合うのか?」

「食材なかったら、今までの頑張り全部パーになっちゃうじゃん」

「藤島さんってしっかりしてると思ったのに」


教室内には、そんな声が上がり始めた。

俺は食材係りだと言う女たちから、クラスの連中に視線を移す。



「オイ、お前ら。自分の担当じゃなかったらその言い草とは、随分冷たいもんだな」


俺の言葉にがやがやしていたクラスが、シーンと静まり返る。


別にあの女の肩を持つ訳じゃない。

ただ、講習会での様子や東條の話を聞く限り、仕事は責任を持って真面目にやるタイプだろう。

今回のことだって、たまたま起こったアクシデントに過ぎない。


誰にだってミスはあるんだ。

大事なのは、その後どんな行動を取るか。

それで結果は変わってくる。


「クラスで起きた問題は連帯責任だ。もっと当事者意識を持って、今からどうすればいいか考えてみろよ」

それだけ言うと、俺は教室を出ていった。


向かう先は生徒会室。

あの女はきっとあそこにいるだろう。



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