温もりを抱きしめて【完】
それぞれの覚悟
ニューヨーク滞在初日に予定されていた食事会は、3日目の夜に変更された。
要さんと食事をして部屋に帰ってから私の体調は悪化してしまい、2日目の昨日は終日ホテルで過ごした。
その甲斐あってか、今日は気分もよくなって、出発前から続いていた頭の痛みも今はない。
今日は胸の辺りにスパンコールや刺繍が散りばめられているベージュのワンピースを着て、パールのアクセサリーを身につけた。
髪は何もつけず、下ろしたまま。
お父様との食事会でこの洋服で大丈夫かな、と何度も鏡をチェックしてから部屋を出てきた。
ロビーにはすでに要さんの姿があり、携帯で話す葉山さんも側にいた。
2人の元へ駆け寄り「お待たせしました」と言って頭を下げると、電話を切った葉山さんが一礼してこちらを見る。
「本日のドレスもとってもよくお似合いですね」
「ありがとうございます」
葉山さんは要さんと私を見て、にこやかな表情を浮かべた。
「では、参りましょうか。社長もお2人に会うのを心待ちにしておられますので」
「ハイ」
黙ったままの要さんの後ろをついて、私たちはエントランスを出てすぐの所に停めてある車に乗り込んだ。
「……オイ、大丈夫か?」
走り出した車内で、緊張している様子の私に気づいたんだろう。
要さんは私の方を見て、「そんな怖い親父じゃねぇよ」と言ってくれた。
「...大丈夫です。ありがとうございます」
そんな彼の気遣いに作った笑みを返すと、また窓の外に目を向ける。
それでもレストランに着くまでの20分間。
緊張していた私は、それ以外に喋ることが出来なかった。
要さんと食事をして部屋に帰ってから私の体調は悪化してしまい、2日目の昨日は終日ホテルで過ごした。
その甲斐あってか、今日は気分もよくなって、出発前から続いていた頭の痛みも今はない。
今日は胸の辺りにスパンコールや刺繍が散りばめられているベージュのワンピースを着て、パールのアクセサリーを身につけた。
髪は何もつけず、下ろしたまま。
お父様との食事会でこの洋服で大丈夫かな、と何度も鏡をチェックしてから部屋を出てきた。
ロビーにはすでに要さんの姿があり、携帯で話す葉山さんも側にいた。
2人の元へ駆け寄り「お待たせしました」と言って頭を下げると、電話を切った葉山さんが一礼してこちらを見る。
「本日のドレスもとってもよくお似合いですね」
「ありがとうございます」
葉山さんは要さんと私を見て、にこやかな表情を浮かべた。
「では、参りましょうか。社長もお2人に会うのを心待ちにしておられますので」
「ハイ」
黙ったままの要さんの後ろをついて、私たちはエントランスを出てすぐの所に停めてある車に乗り込んだ。
「……オイ、大丈夫か?」
走り出した車内で、緊張している様子の私に気づいたんだろう。
要さんは私の方を見て、「そんな怖い親父じゃねぇよ」と言ってくれた。
「...大丈夫です。ありがとうございます」
そんな彼の気遣いに作った笑みを返すと、また窓の外に目を向ける。
それでもレストランに着くまでの20分間。
緊張していた私は、それ以外に喋ることが出来なかった。