一年の恋。一年後の恋。


誠は何も言わず
私の頭を撫ぜながら聞いてくれていた


『仕事も辞めて……マンションも売って……子供もおろした。全てが嫌になったけど、死ぬ覚悟なんてなかった。だから東京を離れたの……』

『ごめん……こんな女で……』


だから、誠とは結婚できないよ
中絶した女なんて、普通嫌でしょ……。



「……何に対して謝ってるのか、わからないけど……、俺の気持ちは変わらないよ?昨日も言ったけど、今も俺は真紀と結婚したいと思ってるけど?」


あー……この人は
何でサラッとこんな事言えちゃうの?


「ま…、真紀は絶対俺と結婚するけどね」


『な、なんでそんな事言えるのよ!』


「ん?そんなの決まってる。真紀は俺の事、だーい好きだから」



その言葉に驚いてしまう
自信過剰っていうか……馬鹿?

けど……

『ま、間違いではないね……』


でしょ?
そう言って笑ってる誠。
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