一年の恋。一年後の恋。


拓海と別れ、私はマンションへ帰った
マンションに着いたのは夕方


「堤川さん、おかえりなさい」


声をかけてきたのは、管理人さん


『こんにちは』


「不在だからって、荷物預かってわよ」


『ありがとうございます』


管理人さんから受け取った荷物は
10センチくらいの小さな箱だった

私宛だけど、差出人も私
自分宛に送るなんてしない……
中身が何なのかはわからない

けど、多分あの手紙と同じ人だろう
箱を持ち、部屋へ戻る


箱……開ける?
どうしよう………。

誠が帰ってきて、話してから開ける?
それとも拓海に連絡する?
……どちらも選択できない


私は散々悩んだ結果
一人で開けようと決めた


決めたけど……なかなか勇気が出ない
封筒はカッターの刃だった
中身が何かわからない
けど、確実に良くないものだ。


明るかった窓からの暖かい陽は
茜色になり、暗闇になろうという時刻だった。
< 160 / 194 >

この作品をシェア

pagetop