一年の恋。一年後の恋。
拓海と別れ、私はマンションへ帰った
マンションに着いたのは夕方
「堤川さん、おかえりなさい」
声をかけてきたのは、管理人さん
『こんにちは』
「不在だからって、荷物預かってわよ」
『ありがとうございます』
管理人さんから受け取った荷物は
10センチくらいの小さな箱だった
私宛だけど、差出人も私
自分宛に送るなんてしない……
中身が何なのかはわからない
けど、多分あの手紙と同じ人だろう
箱を持ち、部屋へ戻る
箱……開ける?
どうしよう………。
誠が帰ってきて、話してから開ける?
それとも拓海に連絡する?
……どちらも選択できない
私は散々悩んだ結果
一人で開けようと決めた
決めたけど……なかなか勇気が出ない
封筒はカッターの刃だった
中身が何かわからない
けど、確実に良くないものだ。
明るかった窓からの暖かい陽は
茜色になり、暗闇になろうという時刻だった。