一年の恋。一年後の恋。


誠はすぐ戻ってきたけど
その手には電報は無かった


誠は私の不安そうな顔に気がついてくれて、私のそばに来てくれた


「ん、可愛い。」


何事もなかったように……
だから、私も大丈夫だと言い聞かせた




それからパーティーは始まり
私は誠から離れず……
いや、誠が離してくれず
ずっと挨拶回りをしていた


一通りしたあと、少し疲れてしまった
トイレにも行きたい……


『誠……お手洗いに……』


あぁ、そう言って二人で会場を出た
ロビーには殆ど人がおらず
逆に喫煙ルームにはたくさんの人


「……吸ってきていいよ?トイレ、見えるから大丈夫だよ」


誠は、なら……と苦笑いしながら喫煙ルームへ入っていく
私はトイレへと入る


一人になるのが少しだけ不安になり
早々と済ませて、手を洗う


ちょうど、その時、誰かが入ってきた
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