一年の恋。一年後の恋。


「おめでとうございます」


そう聞こえたから
招待客だと思い、彼女の方を見た


『ありがとうごさい…』


その彼女は……あの彼女
東海開発の受付、拓海の浮気相手…


彼女を招待していない
受付嬢なんてだれも……
勝手に入ってきた?

ここの式場は貸切にしている
ドレスアップしてるから
そうなんだろうと思ったけど


……彼女はピクリとも笑わない



『それでは……』


トイレから出ようとしても
私の前に立ちはだかる彼女


『あの……』


「ジュロンの次期社長捕まえときながら、未だに元カレを追い回して楽しい?」


それは、さっきの柔らかそうな声とは違い冷たくすぎる声だった
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