一年の恋。一年後の恋。
『やった!めちゃくちゃ大好きなんです!自分の家でも焼いたりするんです』
「ガスコンロかい?」
おじさんの問いに私は首を振り
『そんなイカを粗末にしませんよ。庭先に出てしちりんで焼いてます』
「ねえちゃん、やるねぇ」
「俺にもイカ頂戴」
堤川さんが横からイカを箸でつまんで持っていく
『えー、私のイカなのにっ』
「たくさんあるだろ?いいだろ」
私と堤川さんのやりとりに
おじさんも奥さんも笑ってくれた
なんだか久しぶりに笑ったかもしれない
堤川さんに、作り笑顔と言われて
自分では気がつかなかったけど
……笑うのって楽しい。
楽しい時間はあっという間に過ぎていく
気がついたら、もう12時を回っていた
帰らなきゃマズいな……
トイレから戻ると
「またおいで」
えっ?まさか、払った?
いやいや、かなりマズい
いいだけ食べて飲んだ
堤川さんもお酒に強い
二人合わせても、かなりの金額だ