一年の恋。一年後の恋。
事務所にいるのは
宮西さんと堤川さんと私
他の人たちは珍しく
出張やら、打ち合わせやらで
席を外してたり……
『お茶に、しましょうか』
その言葉で今に至る
堤川さんが持ってきてくれたお菓子を食べながら三人でコーヒーを飲む
「いつも悪いね、手土産なんて……」
宮西さんがニコニコしながら言う
「俺的には笹森さんにってなんですけど」
堤川さんの一言でむせてしまう
「真紀ちゃん、大丈夫?」
『ゲホッ、ゲホッ……は、はい』
「真紀ちゃんって、ここ終わったらどうするの?就職先あるの?」
『んー……まだ考え中ですね。都会は苦手だから、今みたいな暮らしができて仕事もあれば嬉しいですけどね』
これは正直な気持ち
都会は苦手……
都会には戻りたくない
東京には……戻らない
「ここに来る前は何してたの?」
『え?……まぁOLですね。毎日のように残業してました』
「え?そうなの?」
いつの間にか私と宮西さんだけの会話になっていて堤川さんは
うん、うんと相槌をうつだけ。