一年の恋。一年後の恋。
気付かないフリ


「笹森さん、金曜の予約は大丈夫?」


『はい、大丈夫ですよ』
『寒くてなってきましたから、鍋プランにしてみました』


「鍋かぁ……いいね」


金曜日に、中間報告を兼ねた懇親会がある

もちろん本社からも数人くる
……堤川さんも。


なかなか会社の人と飲みに行くことも無いから、すこしだけ楽しみ


何よりも……堤川さんと会える
そんな淡い気持ちを秘めていた



そして金曜日
打ち合わせやら会議やらで
堤川さんが事務所に来ることはなかった
やっと堤川さんの顔が見れたのは
懇親会が始まって30分も経っていた


『何、飲まれますか?』


「ん、俺ビール……と部長は焼酎で」


結局、この注文をしたあと
殆ど会話もする事はなかった

なんでかというと……

「真紀ちゃんって言うのか、可愛いねぇ」


堤川さんと一緒に来た部長さんという人物が酔っ払いながら私の隣にすわり
永遠と私に絡み、肩なんかに触れる始末


所長が「ごめんっ」て
ジェスチャーするもんだから
イライラしながらも我慢の時間を過ごした


「真紀ちゃーん、二次会行く?」


『いえ、みなさんで楽しんでください』


誰が、エロ部長がいる二次会なんぞ行くかっ!!
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