一年の恋。一年後の恋。
「そうだよね、真紀ちゃんお疲れ」
私はみんなを見送っていた
……みんなと言うか
みんなの中にいる堤川さんの背中を見ていた
……と、堤川さんがいきなり振り返り
私の所へ走ってきた
『どうしたんですか?』
「ん、これ。本当は事務所に寄りたかったんだけど出来なかったから」
そう差し出したのは、絶対高いであろう包装のチョコレート
「……イライラした時には甘いものが一番いいからさ」
そう言って私に渡してくれた
どう見てもみんなで食べれる数じゃなく
多分……私用
私のために買ってきてくれたのかな?
『あ、ありがとうございます』
「……だから、その顔やばいから」
「じゃ、気をつけて」
そう言って行こうとしたが
また振り返り私の肩に堤川さんが触れ
何かを払っている
『え、あ、何か付いてましたか?』
「ん?……部長に触られてたから」
えっ?っと思ったけど
何も聞けず何も言えず
堤川さんは「また…」と言って
みんなの所へ戻っていった