一年の恋。一年後の恋。
『堤川さんも夕食じゃないですか?』
「今日は昼過ぎにそっち出て、さっき帰ってきた。帰りの途中でラーメン食べてきたから、晩飯はいらないかな」
「ってか、いいなぁー食いたい」
『ふふふっ。音だけ楽しんでください』
「はぁ?なんの音だよっ」
『あ、そうでしたね。ならまた来年ですかね、もう寒いですから……けど来年は私がいないか……ははっ』
「あー……そっか。なら出来たら…だな」
『そうですね。なら尚更、音だけ楽しんでください』
「なんだと?俺は音フェチじゃねぇよ」
堤川さんとの電話はすごく楽しくて
久々に笑った
多分、堤川さんと飲んだあの日以来だ
『あ、もうこんな時間ですね。そろそろ寝ましょうか』
「……」
『堤川さん?』
「それ、なんかやばい」
は?なに?ただ寝ようって言っただけ
…………あっ
『あっ。いや、そう捉えちゃいますね。もっと違う言い方がありましたね』
「ん、いや、……」
『じゃ。おやすみなさい』
「うん、また……」
電話を切った
トクン……
まただ…